「逃げ出すのではなく、逃げ込める街へ」

六本木ヒルズ開発前のこの地域は、木造住宅を中心とした低層の建物が密集したエリアで、細街路が広がり、消防自動車等も入れない場所でした。再開発では、安全で安心して暮せる街をつくることもひとつの目標でした。

耐震設備

阪神・淡路大震災クラスの大地震が発生しても、建物に損傷を与えないような耐震設計が、各建物の特性に応じて計画されています。

地震や災害時に逃げ出す街ではなく、「逃げ込める街」へ。
六本木ヒルズでは災害に強い街づくりのために、さまざまな技術を採用しています。特に超高層の建築物に関しては、耐震性を高めるために、免震・制振などの技術を取り入れています。

オイルダンパー

オイルが移動するときの抵抗力で建物の揺れを吸収する仕組みのダンパー。装置に内蔵したセンサーが微小な揺れを感知して、素早くオイルの流れを制御する仕組みで、大地震時の揺れだけでなく、中小規模の地震や風による揺れも低減する働きがあります。森タワーでは、オイルダンパーを356台設置しており、卓越した耐震機能を誇ります。

粘性壁

六本木ヒルズレジデンスB・C棟には、粘性壁が採用されています。これは、箱状の鋼版の中に高い粘度を持つ粘性体を注入し、その中を独立した内部鋼版が動く際に生じる抵抗力で地震や風揺れを低減する仕組みです。各階の中央部に8基ずつ設置されています。

CFT柱

建物の骨組みとなる柱において、鉄管の内部に高強度コンクリートを充填したものです。従来工法よりも耐力、変形能力に優れた柱で、森タワー、グランド ハイアット 東京、六本木ヒルズレジデンスB・C棟、ハリウッドビューティプラザで採用しています。

グリーンマスダンパー

建物主体と積層ゴム(通常、免震構造に用いられるものと同じ)により絶縁された屋上緑化部分を大きく揺らす振り子の効果を利用することで、その層間に配されたダンパー(制震装置)が地震エネルギーを吸収し、建物主体への負担を軽くします。
六本木ヒルズけやき坂コンプレックスに採用しています。

災害対策

地区内には非常時(震災時等で上水が絶たれるなど)の飲用水・トイレ洗浄水および消防用水等を確保する災害用井戸や非常用発電システムを整備し、非常用食料を備蓄するなど、災害時の備えに万全を期しています。

備蓄倉庫

非常食、飲料水、簡易トイレ、毛布、薬、救助用品、復興用備品、赤ちゃんのための紙おむつや粉ミルクなどを用意しています。

災害用井戸

震災時に生活を維持するために必要不可欠なインフラ(都市基盤)として、六本木ヒルズ内に2ヶ所設置しています。長期間の断水に備え、トイレの洗浄水、発電機の冷却水として利用するほか、自治体と協定を交わし周辺地域への供給(主に雑用水や消火活動用に)などに利用します。
飲料水は備蓄の水を利用しますが、不足の場合はこの井戸から供給します。原水そのものは飲用には適しませんが、ろ過滅菌装置により飲用可能となります。