街には冬の気配が深まり、透明な空気が輪郭を
際立たせる季節に。六本木ヒルズには、そんな
時季を洗練された感性で楽しませてくれる本物
のアイテムが揃っています。美しいものを愛し、
上質を知る大人へ向け、六本木ヒルズの魅力を
伝え続けている本連載。

街には冬の気配が深まり、透明な空気が輪郭を際立たせる季節に。六本木ヒルズには、
そんな時季を洗練された感性で楽しませてくれる本物のアイテムが揃っています。美し
いものを愛し、上質を知る大人へ向け、六本木ヒルズの魅力を伝え続けている本連載。

今回は、森美術館で現在開催中の「六本木ク
ロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたし
たちは永遠」をアートに精通するモデル・市
川紗椰さんと共に巡ります。冬の森美術館に
ふさわしい、上品さの中に遊び心を忍ばせた
3つのスタイルを楽しみつつ、各現代アート作
品の中に現れるさまざまな時間の交差を見つ
めていきます。

今回は、森美術館で現在開催中の「六本木クロッシング2025展:時間は過
ぎ去る わたしたちは永遠」をアートに精通するモデル・市川紗椰さんと共
に巡ります。冬の森美術館にふさわしい、上品さの中に遊び心を忍ばせた
3つのスタイルを楽しみつつ、各現代アート作品の中に現れるさまざまな時
間の交差を見つめていきます。

Beauti-Full Things SAYA ICHIKAWA

Beauti-Full Things SAYA ICHIKAWAE

空間を華やかに彩る
深いボルドーと贅沢な襟元

「大きな襟が印象的で目を惹かれる一着。深いボルドーのような、少しブラウンにも感じるコートの色味は、甘すぎず辛すぎない絶妙なバランスで、一緒に撮影した作品との色の組み合わせもお気に入りです。コートのボルドーに彫刻の鮮やかな水色と真っ赤な色が映え、空間全体がより華やかで印象的に感じられました。もともと現代アートや抽象表現主義が好きで、色の使い方に魅了されることも多く、素敵な配色に出会うとファッションや日常に取り入れたくなってしまうのですが、今回もこの色合いがとても気に入ったので、プライベートの私服のスタイリングにも活かしていきたいなと思います。」

  • Coat [ESSENCEOFLUXURY] ¥154,000
  • Shirt [COLUMN] ¥44,000
  • Boots [ESTNATION] ¥162,800

ESTNATION

  • Coat [ESSENCEOFLUXURY] ¥154,000
  • Shirt [COLUMN] ¥44,000
  • Boots [ESTNATION] ¥162,800

空間を華やかに彩る
深いボルドーと贅沢な襟元

「大きな襟が印象的で目を惹かれる一着。深いボルドーのような、少しブラウンにも感じるコートの色味は、甘すぎず辛すぎない絶妙なバランスで、一緒に撮影した作品との色の組み合わせもお気に入りです。

コートのボルドーに彫刻の鮮やかな水色と真っ赤な色が映え、空間全体がより華やかで印象的に感じられました。もともと現代アートや抽象表現主義が好きで、色の使い方に魅了されることも多く、素敵な配色に出会うとファッションや日常に取り入れたくなってしまうのですが、今回もこの色合いがとても気に入ったので、プライベートの私服のスタイリングにも活かしていきたいなと思います。」

海外メゾンとのコラボレーションでも注目を集める桑田卓郎の大型陶芸作品。《無題》(2025)は、自然石のような造形に鮮やかな色彩を重ね、陶芸の伝統を新たな視点で再構築する。偶然性に委ねられてきたわびさびの美学を意識的に生み出し、古代から続く陶芸の可能性を現代へと拡張する一作。

海外メゾンとのコラボレーションでも注目を集める桑田卓郎の大型陶芸作品。《無題》(2025)は、自然石のような造形に鮮やかな色彩を重ね、陶芸の伝統を新たな視点で再構築する。偶然性に委ねられてきたわびさびの美学を意識的に生み出し、古代から続く陶芸の可能性を現代へと拡張する一作。

ケリー・アカシの彫刻作品。それぞれの作品に登場する螺旋形や雑草、花、貝殻、岩といったモチーフは、時間の循環や生命を象徴する重要な要素。作家が写真を学んだ経験から、一瞬を切り取り時間を凝縮する写真的な眼差しが彫刻にも反映されています。《星々の響き》(2025)では、ガラスを通して花の美しさと儚さが緊張感をもって表現されています。

ケリー・アカシの彫刻作品。それぞれの作品に登場する螺旋形や雑草、花、貝殻、岩といったモチーフは、時間の循環や生命を象徴する重要な要素。作家が写真を学んだ経験から、一瞬を切り取り時間を凝縮する写真的な眼差しが彫刻にも反映されています。《星々の響き》(2025)では、ガラスを通して花の美しさと儚さが緊張感をもって表現されています。

ベルベットのスカートから
足元を覗かせるモードなスタイル

「シルクシフォンのブラウスとベルベットのスカートは、実は一体になったドレス。ブラウスは素材が上質で、とにかく美しい。スカートにはスリットが入っているので動きやすく、上品に肌を覗かせてくれる一着です。やはり良い素材を身にまとっていると、それだけで気持ちが高まり不思議と所作まで変わる気がしますね。動くたびに、一瞬一瞬が綺麗なんです。そこにあえてドレッシーなヒールではなく、少しカジュアルなローヒールブーツを合わせ、現代アートとアクティブに向き合うスタイリングが完成。モードで今の空気感をまとったスタイルに仕上がっていて、凄くいいなと思いました。」

  • Boots ¥124,300
  • Pierce ¥46,200
  • Dress ¥264,000
  • Bag ¥80,300

EMPORIO ARMANI

  • Boots ¥124,300
  • Pierce ¥46,200
  • Dress ¥264,000
  • Bag ¥80,300

ベルベットのスカートから
足元を覗かせるモードなスタイル

「シルクシフォンのブラウスとベルベットのスカートは、実は一体になったドレス。ブラウスは素材が上質で、とにかく美しい。スカートにはスリットが入っているので動きやすく、上品に肌を覗かせてくれる一着です。やはり良い素材を身にまとっていると、それだけで気持ちが高まり不思議と所作まで変わる気がしますね。

動くたびに、一瞬一瞬が綺麗なんです。そこにあえてドレッシーなヒールではなく、少しカジュアルなローヒールブーツを合わせ、現代アートとアクティブに向き合うスタイリングが完成。モードで今の空気感をまとったスタイルに仕上がっていて、凄くいいなと思いました。」

自らの身体を完全には見ることができない状況に着目する廣直高。《無題(埋め込まれたもの)》(2025)は、床に低く設置したパネルの下に身体を滑り込ませ、制限された視界と動きのなかで描く行為を反復した作品。行為の痕跡が蓄積された抽象表現を通して、「見ること/見られること」の揺らぎと、自己の身体認識の不確かさを問いかける。

自らの身体を完全には見ることができない状況に着目する廣直高。《無題(埋め込まれたもの)》(2025)は、床に低く設置したパネルの下に身体を滑り込ませ、制限された視界と動きのなかで描く行為を反復した作品。行為の痕跡が蓄積された抽象表現を通して、「見ること/見られること」の揺らぎと、自己の身体認識の不確かさを問いかける。

手仕事や布に宿る家族の記憶を辿りながら、個人と社会、過去と現在を結び直す沖潤子の刺繍作品。古布や受け継がれた衣類に一針ずつ糸を重ね、他者の記憶と時間に自身の生命の痕跡を刻み込むことで、そこに新たな意味と価値を創出。全国から集めた約七千個の糸巻きと自身の作品を対置し、交差する生の時間を風景として表現しています。

手仕事や布に宿る家族の記憶を辿りながら、個人と社会、過去と現在を結び直す沖潤子の刺繍作品。古布や受け継がれた衣類に一針ずつ糸を重ね、他者の記憶と時間に自身の生命の痕跡を刻み込むことで、そこに新たな意味と価値を創出。全国から集めた約七千個の糸巻きと自身の作品を対置し、交差する生の時間を風景として表現しています。

都会に溶け込む
洗練されたカラーとシルエット

「全体的なシルエットがとても綺麗で印象的だったスタイリング。ふんわり広がるパンツのシルエットが優雅で、シャツのリボンも巻き方次第で可愛くもクールにも表情を変えられるところがいいですね。甘すぎず、どこかトラッドな要素を残しながらも洗練されたブルーのシャツが、カラーメイクをより美しく魅せてくれて、大人のカラースタイルに取り入れたいバランス感覚でした。足元のブーツも印象的で、ヒール部分のシルバーと丸みのあるフォルムが、主張しすぎない中にさりげない個性を感じさせます。前衛的すぎるわけではありませんが、どこか現代アートにも通じる遊び心が隠れているところに惹かれました。」

  • Shirt [ESSENCEOFLUXURY] ¥88,000
  • Pants [UNUS] ¥66,000
  • Shoes [PAUL ANDREW] ¥198,000

ESTNATION

  • Shirt [ESSENCEOFLUXURY] ¥88,000
  • Pants [UNUS] ¥66,000
  • Shoes [PAUL ANDREW] ¥198,000

都会に溶け込む
洗練されたカラーとシルエット

「全体的なシルエットがとても綺麗で印象的だったスタイリング。ふんわり広がるパンツのシルエットが優雅で、シャツのリボンも巻き方次第で可愛くもクールにも表情を変えられるところがいいですね。甘すぎず、どこかトラッドな要素を残しながらも洗練されたブルーのシャツが、カラーメイクをより美しく魅せてくれて、大人のカラースタイルに取り入れたいバランス感覚でした。

足元のブーツも印象的で、ヒール部分のシルバーと丸みのあるフォルムが、主張しすぎない中にさりげない個性を感じさせます。前衛的すぎるわけではありませんが、どこか現代アートにも通じる遊び心が隠れているところに惹かれました。」

和田礼治郎の《MITTAG》(2025)はドイツ語で「正午」という意味。本作品は今回の展示会場のために作られたもので、正面から作品を見るとブランデーの水面が東京の地平線と重なります。ブランデー越しに見える東京の景色は、時間と共に変化。真鍮とブロンズ、幾何学的な形と有機的な樹の形など、相対する要素から、永遠と刹那、無限と有限といった時間概念を探求した作品。

和田礼治郎の《MITTAG》(2025)はドイツ語で「正午」という意味。本作品は今回の展示会場のために作られたもので、正面から作品を見るとブランデーの水面が東京の地平線と重なります。ブランデー越しに見える東京の景色は、時間と共に変化。真鍮とブロンズ、幾何学的な形と有機的な樹の形など、相対する要素から、永遠と刹那、無限と有限といった時間概念を探求した作品。

Interview

現代アートを通して
自分自身に向き合える空間

今回の展覧会のテーマは「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」。時間が速く流れる現代ですが、市川さんが過ぎゆく時間の中で大切にしてることはどのようなものでしょうか?
市川 紗椰(以下I私は普段からゆっくり時間を過ごすのが好きで、自分の時間を大切にしていているんです。そういう意味でも、美術館は空間自体が贅沢ですし、自分の時間をものすごく贅沢に使える別な場所。ここ森美術館は気軽に見ることができる展覧会も多く、規模もちょうどよかったりして、ふらっと一人で来て自分と向きあえる空間なんです。
「六本木クロッシング2025展」のみどころをお聞かせください。
I : 今回の展示を通して、作品を生で見ることの大切さを改めて感じました。事前にチェックしていた作品でも、実際に足を運んで向き合うと、印象が大きく変わることが多くあります。実作品の質感や雰囲気は、やはり自分の目で触れないとわからない。現代アートは、生で見たときの迫力やメッセージ性が強い作品も多く、SNSや図録などで簡単に見た気になってしまう今の時代だからこそ、体感することで初めて理解できることがあると感じます。現代アートは難しく感じられることも多いですが、この展示では最初の空間で多くの作品に囲まれ、一気に圧倒される体験ができ、純粋に「綺麗」「かっこいい」「面白い」と感じられる作品が多く並んでいます。そこから作品に込められたメッセージを考え、自分なりの答えを見つけていく。そのプロセスも含めて、現代アートの魅力を感じられる展示だと思います。

誰にとっても開かれている
東京を象徴する特別な場所

J-WAVEでもナビゲーターを務めていらっしゃり、六本木ヒルズに訪れることも多いと思いますが、いつもどのように過ごされますか?
I : 9年ほど前から毎週必ず六本木ヒルズに足を運んでいます。誰かに贈り物を探すときに訪れるのはエストネーション。何においても上質で、ずっと信頼がありますね。ウチノ タッチのガーゼパジャマも、よくギフトとして選ぶアイテム。すごく触り心地がよくて、寝心地がいいパジャマなんです。あとは、5階にある中華屋さんの飄香小院が好きです。美味しくて、生放送終わりや、収録終わりによく行きますし、テイクアウトもするほど。他にも、イタリアンからステーキハウスまで、美味しいお店がたくさん。あとは姪っ子が当時まだ五歳くらいの時には、よく一緒にレゴストアに行きましたし、さくら坂公園で遊んでいましたね。子供と楽しめる場所も沢山あるんです。
市川さんにとって、六本木ヒルズはどのような存在でしょうか。
I : 六本木ヒルズは高校生の頃にできたのですが、なかった頃がもう想像つかないくらい当たり前で身近な存在です。ファッションからアート、映画、公園まで全てが揃っている上に、ファミリー向けのお店もあれば、デート向きの場所、一人でも楽しめるコンテンツも沢山あってどんな過ごし方でも目的を満たし豊かな気持ちになれる場所。本当に東京を象徴するような特別な場所の一つだと思います。
  • 表示されている価格は全て税込です。
  • 掲載情報は20251224日現在の情報となり、
    内容は予告なく変更になる場合がございます。
  • 価格表記のないアイテムについては、
    全てスタイリストの私物となります。
< 展覧会概要 >
会期:
2025123日~2026329
会場:
森美術館
(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
開館時間:
10:0022:00(最終入館 21:30
※火曜日17:00まで(最終入館 16:30
1230日(火)22:00(最終入館 21:30)まで
休館日:
会期中無休
料金:[平日]
一般 2,000円 / シニア(65歳以上)1,700
学生(高校・大学生)1,400円 / 中学生以下 無料
[土日・休日]
一般 2,200円 / シニア(65歳以上)1,900
学生(高校・大学生)1,500円 / 中学生以下 無料
※オンライン割引あり

市川 紗椰

多くのファッション誌で幅広く活躍するモデルであり、タレント。大学では美術史を専攻し、アートへの深い知見を持つ。音楽や読書などカルチャー全般への造詣も深く、専門誌での連載を持つなど、表現と知性を併せ持つ存在として注目を集めている。202510月より、J-WAVEのラジオ番組「MIDDAY LOUNGE」にて、火曜日ナビゲーターを務める。