Interview
旅の荷物は少ない方がいい
- “夏の旅をともにしたい小物”というテーマで、4つのアイテムを選んでいただきましたが、共通したポイントはありましたか?
- 谷尻誠(以下T):旅先では急がないといけないことも多く、身軽でいたいので、“軽さ”を考えて選びました。僕はいつも旅にはカメラを持っていくので、その分他のアイテムのウェイトを減らすようにしているんです。旅の荷物はできるだけ少ない方がいいですから。
- 今回選んだアイテムはどんな旅に持っていくことを想定しましたか?
- T : ゴールデンウィークは家族でバリに行く予定なので、バリ旅行をイメージしながら選びました。
- 世界中を旅されている谷尻さんですが、旅をする理由は何でしょうか?
- T : 旅をするとさまざまな感動体験ができますよね。僕の仕事は建物を建てることですが、建物にも感動の要素が必要だと思っているんです。人は心を動かされるものに惹かれ、その体験の価値にお金を払う。だから僕にとって、旅は自己投資なんです。自分の感動体験を設計し、提案ができる建築家になりたい。そんな想いのもと、旅をしてきました。
- 大人になって旅の見方は変わりましたか?
- T : 若い頃は建物を見に行くために旅をしていたのですが、悲しいかな、建物よりも自然を見た時の方が感動することが多かったんですよね。今では自然の美しさを見に行くために旅をするようになりました。だからこそ、どうすれば僕の設計でも自然を見た時の感動を生み出せるか、とずっと考え続けています。これは永遠のテーマですね。建物を見て回る時って、“これは誰々が作った”とか、“歴史がある建物”とか、左脳的に見ているんですよね。知識で感動しようとしている。でも、そういう準備のない自然に触れた時、人間は右脳で反射的に、感覚的に感動しているんですよね。
- ものを選ぶときは知識と感覚、どちらで選ばれますか?
- T : 買い物をするときも、ブランドなどの知識はあまり入れずに、直感に従いながらものを選ぶようにしています。以前はブランドにすごく興味があったのですが、逆にブランドの名前に依存している自分もいた。今ではブランドよりも、その品のサイズやデザインが自分に合っているかを見るようになりました。ブランドの力を借りなくても、自分がしっかりとした考えを持っていれば、何を着ても品格は生まれるはずですから。今日選んだアイテムもそうした直感で選んだアイテムばかりです。